朝比奈三郎、曽我五郎の草摺りを曳く図(あさひなさぶろう、そがごろうのくざずりをひくず)
この絵は貴布袮(きふね)神社の奉納額で、神社の氏子30名により奉納されたものです。作者は嗒然(とうねん)で、江戸時代後期の寛政8年(1796)に海池村(現米子市福生)に生まれ、11歳で大山寺に入り、翌年に円流院台賢(えんりゅういんたいけん)の弟子となり剃髪(ていはつ)して台貫(たいかん)と名のりました。僧としての修行のかたわら、絵画、書道、詩歌等の教養を身につけました。晩年には八幡村(現米子市八幡)に草庵を営み、迎嶽観主人太虚(げいがくかんしゅじんたいきょ)と名のりました。
描かれているのは歌舞伎「曾我物語」の一場面で、力強い筆使いで気品のある色彩鮮やかな作品となっています。裏には、嗒然自身の自叙伝が墨書きされています。
掲載日:2022年3月14日