南北自由通路通信【第12号】

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南北自由通路通信【第12号】

一発勝負!時間勝負!のコンクリート工事(前編)

お盆前までは鉄骨がどんどん建ち並び、見た目でも「おぉ!工事が進んでるなっ!」と分かりやすかったのですが、「この1か月、外見上は動きがないけど何をしているんだ?」と思われたかたもいらっしゃったかもしれません。

線路内の鉄骨作業が終わったあと、通路ではコンクリート工事に向けて準備を重ねていました。建物にとって、柱や梁は”骨”ですが、鉄筋コンクリートは骨を支える”筋肉”であり、多くの人が行き交う足元の強度を決める重要な工事です。
今回は線路上の自由通路内で行なわれたコンクリート工事の現場を取材してきました。2回に分けてお伝えします。
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コンクリートは用途によって水分量や配合率が様々で、目標とする強度を出すための配合を事前に試験し、厳しい条件を設定して強度を下回らないようにしています。写真は出荷伝票で、工場で調合したコンクリートの成分や設定値が記載されており、事前に打ち合わせしていた配合計画書と違いがないかを確認します。
いよいよ工事開始!といきたいところですが、実際にコンクリートを受け入れるまでには、ここからいくつもの試験を行ない、すべて合格する必要があります。
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まずは「スランプ試験」と呼ばれる生コンクリートの軟らかさを測定する試験で、スランプコーンと呼ばれる緑色の容器に生コンクリートを詰めて裏返した後に抜き取り、生コンクリートの頂部の高さが何センチ下がったかを測定します。固すぎると施工難度が上がり、緩すぎると材料分離が生じやすくなります。
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次は「空気量試験」で、専用の測定容器に生コンクリートを詰めてコンクリートの空気量を測ります。空気が入っていることで凍結劣化が軽減されたり作業がしやすくなる半面、空気が多すぎると強度が低下するため、工場で薬剤により調整されたものが届けられます。
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続いて「塩化物試験」です。ある程度以上の塩化物が含まれていると鉄筋がさびやすくなるためです。
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最後に「圧縮強度試験」です。これはこの場で判定するのではなく、専用の容器にコンクリートを詰め、製作してから4週後に試験場で圧縮試験を行ない強度を確認します。
今回はこのほかにコンクリート温度を測定し、無事全て基準をクリアしたので工事開始となりました。
このように受け入れるまでにいくつもの品質試験をしないといけないのは、コンクリート工事が一発勝負でやり直しがきかないことの裏返しでもあります。
コンクリートは時間経過とともに液体から固体に変化する”生もの”です。建築にとって非常に便利なものですが、後戻りできない非常にやっかいなものでもあります。
【後編に続く】

R040913DE10
撮影中にDE10形と真新しいホッパ車2両が通りました。
自由通路は、令和5年8月頃に供用開始を予定しています。
今後もますます変化していく米子駅の様子にご注目ください!

リンク … 米子駅周辺整備スケジュール

 

掲載日:2022年9月29日