南北自由通路通信【第6号】

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南北自由通路通信【第6号】

鉄骨組立を少し深掘り!(ボルト接合:前編)


現在、米子駅ではこ線橋から間近に自由通路の骨組みを眺めることができるのですが、屋根の部位で少し気になる箇所があります。

rust1  rust2


「新品の部材のはずなのに、なぜボルトの個所だけ錆びてるの?」→「錆が進行して、鉄骨の寿命が縮んでしまうんじゃないの?」と写真から連想されるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

実はその逆で、接合の強度を上げるためにあえて錆を発生させているのです。
鉄骨造では、「高力ボルト」というボルトがよく使われるのですが、締め付けの圧着力(摩擦力)によって外からの力にも耐える仕組みとなっています(図を参照)。
highstrengthbolt

ザラザラな面の方が摩擦は強く発生します。それで接合部はあえて接続強度を優先し、錆止めをしていないのです。

自由通路の屋根部分には「トルシア型高力ボルト」というボルトを使用しているのですが、一定以上の締め付け強度まで達すると先端のピンテールがねじ切られるようになっています。torciatypehighstrengthbolt
ねじ切られたピンテールは職人さんが1個ずつ腰袋等に貯めて作業後に廃棄すると聞き、せっかくなので見せてもらうことに。
pintail1


カバンには数百個のピンテールが入っていました。カメラを片手にカバンを持とうとしたら…「重っ!」。片手では持ち上げられません。
pintail2


キャップ程度の大きさですが、切れ端1個でも鉄の固まりなのでずっしりと重い。
1個1個が職人さんの手作業による証しであり、その重みは安全と安心の裏返しでもあります。

鉄骨造は、工場で製造した部材を重機で組立てる無機質なイメージが先行しますが、現場での作業自体は全て人の手で行なわれます。
今日も繊細且つダイナミックに、「手作業」の組立工事が進んでいます。
【後編に続く】

自由通路は、令和5年8月頃に供用開始を予定しています。
今後もますます変化していく米子駅の様子にご注目ください!

リンク … 米子駅周辺整備スケジュール



掲載日:2022年8月12日