南北自由通路通信【第7号】

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南北自由通路通信【第7号】

鉄骨組立を少し深掘り!(ボルト接合:後編)

前回の通信で、鉄骨組立は繊細且つダイナミックと書きましたが、取材したボルト締め作業は、大きな躯体に似合わず、強度と精度を同時に求められる緻密な作業でした。
今回は、ボルト締め後編ということでお届けします。
前回、屋根部分は「トルシア型高力ボルト」を使用しているとお伝えしましたが、今回取材した時は、通路のボルト締めをしている最中だったため、「溶融亜鉛めっき高力ボルト」を使用していました。
hotdipgalvanizedhighstrengthbolt
「あれ、今回は接合面が錆びてないじゃないか」と前回の通信を見られた方は思われたかもしれません。
最終的にコンクリートの下に埋もれるなど、外気に直接さらされることが無く錆の進行が止まる部位は「トルシア~」を使用しますが、今回のように直接風雨にさらされる部位については、錆による劣化が一番の問題となります。
今後何十年も使用する自由通路ですので、メンテナンスフリーの分厚くめっき処理された特殊なボルトを惜しみなく使用し、接合面を摩擦処理したうえでボルト締めするのです。
ボルト締めに使う工具(レンチ)はこちら。

wrench1
一次締めレンチ
wrench2
本締めレンチ

専用工具なので、びっくりするような値段がします。
まず一次締めレンチで所定のトルクで一次締めを行ないます。ボルトに対して均等に張力を導入するためです。中央のボルトから外側のボルトに向かって順に締付をします。
tightening1

全ての一次締めが終わると、次にマーキングをします。ボルトのねじ山からナット、座金、部材表面まで白ペンで線を引きます。この後の本締めが適切に行なわれたかどうかを確認するためです。
marking1

最後に本締めを行ないます。
tightening2
本締めにより、マーキングをしたナットだけが回転します。座金、ネジ部、部材は回転しません。上記の差を確認することで、ナットが所定の角度分、回転したかわかります。

result
完璧です。
この作業を一つずつ地道に確認しながら全部のボルトを手作業で締めていきます。安心・安全のためにコツコツと堅実な作業をしておられることがよくわかりました。
ちなみに今回の自由通路のためにどれだけのボルトを使用するのか聞いたところ、溶融亜鉛めっき高力ボルトだけで9,100本使用するとのこと。
猛暑が続く中、職人の皆さんには体調にご留意されて作業を続けていただきたいと思います。

自由通路は、令和5年8月頃に供用開始を予定しています。
今後もますます変化していく米子駅の様子にご注目ください!

掲載日:2022年8月17日