県指定保護文化財 井手挾3号墳出土埴輪一括

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県指定保護文化財 井手挾3号墳出土埴輪一括

井手挾3号墳出土埴輪一括(いでばさみさんごうふんしゅつどはにわいっかつ)

古墳時代になると、日本各地の古墳で素焼きの土製品である埴輪が立て並べられました。その起源は弥生時代後期までさかのぼり、葬儀の際、墓上で行なう儀礼に使われた土器が変化したものと考えられています。これらの埴輪は、古墳を神聖な場所として外界と区別する役目を持っており、その形は円筒形のものから始まり、次第に人や動物、武具などを模した多種多様な形象埴輪が作られていきました。

淀江町富繁(とみしげ)で確認された井手3号墳は、今から約1600年前の古墳時代中期に造られた直径29mの円墳です。発掘調査の結果、古墳からは円筒埴輪の他、人物や鹿、水鳥などの動物を模した形象埴輪が出土しました。中でも写真の埴輪は、盾を持つ武人を模した盾持人(たてもちびと)埴輪と呼ばれるものです。高さは8294cmあり、大きな盾には()()学的(きかがくてき)な文様が表現され、うち2体は頭に冠をかぶり、顔には入れ墨が彫られています。彼らの顔は、無表情ながらも力強くたくましく、見るものを威圧し緊張感を与えます。

亡き首長が眠る古墳は神聖な場所であり、死者の魂を悪霊から守る衛兵として立てられた盾持人埴輪は、破片を含め少なくとも4体発見されています。多くの埴輪とともに古墳に整然と立ち並ぶ武人達の姿は、迫力ある光景だったに違いありません。これらの埴輪には、亡き首長の安らかな永眠を願う、私達の祖先の思いが込められています。

盾持人埴輪 盾持人埴輪  鹿埴輪
鹿埴輪
水鳥埴輪
水鳥埴輪
掲載日:2022年3月22日