県指定保護文化財 絵画土器 角田遺跡出土

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県指定保護文化財 絵画土器 角田遺跡出土

絵画土器 角田遺跡出土(かいがどき すみだいせきしゅつど)

淀江平野の南東部、稲吉(いなよし)地区の水田にある弥生時代中期の稲吉角田遺跡から、十数点の弥生土器がみつかりました。復元すると高さ約150cm(残存高33cm)、口の直径約50cmの弥生時代中期後葉の大型壺形土器になり、この壺の頸部に線刻画が描かれていました。

描かれていたのは、六重の同心円(太陽?)、鳥の羽をつけて舟をこぐ人物、2棟の建物、木にぶらさげられた物体、動物などで、壺の頸部を一周するように描かれています。全国ではかなりの絵画土器が発見されていますが、この角田遺跡で見つかった土器ほど多種多様なものが描かれたものは他にはあまりありません。

舟はゴンドラのようなもので、奈良県唐古・鍵(からこ・かぎ)遺跡出土の絵画土器に類似しています。鳥の羽を頭につけた3人以上が手にパドルのような櫂をもって舟を漕いでいます。建物は、高床のもので一棟は長い梯子がみられ、かなり高層の建物です。もう一棟は、草ふきの屋根を表現した高床倉庫と考えられます。建物の隣に木が描かれ、枝に2つ紡錘形のものがぶら下げられています。これは、銅鐸ではないかと考えられています。動物は、鹿のようですがはっきりしません。

 これらの絵は、春の豊作の祈り、秋の収穫への感謝などの「まつり」に関係した一連のものか、あるいは湖沼が広がる淀江平野の情景を描いたものと考えられます。この描かれた絵のモデルとなった人々や舟、建物などが、弥生時代の淀江町には確実に存在したことがわかり、当時の生活や社会を復元できる貴重な資料です。

掲載日:2022年1月14日