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第4回 医工連携―異分野との出会いで広がる可能性―

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第4回 医工連携―異分野との出会いで広がる可能性―

mikotoを操作する植木教授

米子発!医療シミュレーターロボット

株式会社МICOTOテクノロジーと鳥取大学医学部附属病院が共同開発・製品化した医療用シミュレーターロボット「mikoto(ミコト)」が世界から注目されています。

mikotoは、医学生や研修医が内視鏡を鼻や口から通し、観察する技術を訓練するためのロボットで、人体に模して、外観や内部の臓器もシリコンで柔らかく作られています。これまでの訓練では内視鏡を通す際の患者さんの負を知ることができませんでしたが、mikoto内部に圧力センサーを搭載することによって、生体と同じように「痛い」や「おえっ」といった反射などを実現し、緊張感のある実践さながらの訓練が可能となったのです。

このような、高度な技術が搭載されたシミュレーターロボットが開発され、製品化された背景には、医療の高度化による医療従事者に求められる技術や、業務の複雑化・多様化と、それに伴った医療技術の質と安全を確保するための医療人の育成が求められていることが挙げられます。

mikotoを共同開発した鳥取大学医学部は、初学者である医学生や研修医と、熟練した指導医との内視鏡手技に関する圧力の違いを医学的・工学的に助言することで、 mikotoの人体さながらの咽頭反射を実現させました。

この米子発、「医学分野」と「工学分野」の連携の取り組みは、平成29年12月に医療・ヘルスケア分野の最新技術や先進事例を話し合う国際会議「ヘルス2.0」において最優秀賞を受賞し、世界へ発信されました。

<写真>人体さながらの反射を再現するmikoto(ミコト)

地元企業との医療機器開発

鳥取大学医学部附属病院では、前述のmikotoのように、「医学分野」と「工学分野」の連携によって新しい技術の研究開発や新規事業の創出を図ることを目的とした「医工連携」を推進し、高度先進的な医療の提供や、山陰地方のみならず全国で活躍する医療人の育成、そして新しい医療機器の開発に取り組んでいます。

その取り組みの一つとして、医療の現場で本当に必要とされる機器の開発とその製品化のために、現場の実際の悩み事や、患者や医師にとって「こうなったらいいな」というニーズを地元の「ものづくり企業」に理解してもらうための「共学講座」を開催しています。研究推進機構(新規医療研究推進センター兼務)古賀 敦朗 准教授を中心に、医学部附属病院の40診療科と横断的に連携して、「ものづくり企業」に病院を開放する、他病院には見られない取り組みです。この「共学講座」から生まれた医療機器は11件を数え、様々な医療現場で実際に使用され、役立てられています。

鳥取大学医学部附属病院・新規医療研究推進センターは、「共学講座」等において、こうした医療現場での様々な課題への改善に必要なプロセスを、(1)「課題を見つける発見の段階」、(2)「解決策を考える発明の段階」、(3)「異分野が共同して実践する段階」の3つの段階に整理することで、病院と企業等がアイデアを結合させ、新たな価値を創造しています

次世代に知財創造教育を

「解決策を考える発明の段階」では、より多くの人に発明を身近に感じてもらうために、「発明楽(はつめいがく)」という取り組みを実施しています。「発明楽」とは、発明はいくつかの技術の組み合わせで成り立っており、これを「たし算(付加)」、「ひき算(小型化)」、「かけ算(転用)」、「わり算(逆転)」の「発明を生む4つの発想スキル」とし、この4つを習得すれば発明を生むことができる、「発明は才能ではなく、技術である」という考え方です。この「発明楽」の医学生への講義や地域の小学生向けの出前授業を行なうことで、社会的意義のある新たな価値を創造することは、社会に大きな変化をもたらすだけでなく、自分の生きがいや人の幸せにも繋がることを、体験を通して次世代へ伝えています。



<写真>「発明楽(はつめいがく)」の考え方(出典:「発明楽」鳥取大学医学部附属病院)

この「発明楽」のような取り組みは「知財創造教育」と呼ばれ、これから先の未来に求められる教育として注目されています。知財創造教育とは、「新しい創造をすること」、「創造されたものを尊重すること」などを楽しみながら理解させ育むことにより、創造によって社会を豊かにしていこうとする教育です。このような教育が求められる背景には、人口減少という避けることのできない未来があります。大量生産大量消費が「豊かさ」といわれた社会から、人間にしかできない発想をする力、共感や体験を伝えたり提供したりする力、複数の解を求めたり認めたりする力、価値創造の仕組みをデザインする力が求められています。

地域に役立つ研究を

鳥取大学医学部附属病院・新規医療研究推進センターは、鳥取大学を取り巻く企業、自治体等との連携をさらに強化し、知財創造できる人財が育つ地域となるように、一人ひとりが「人の役に立ちたい(立っている)」ことを感じながら、自分から行動しようとする人を育むような地域をめざし、貢献することを今後の大きな理想像としています。

<写真>共学講座から生まれた医療機器が並ぶ、新規医療研究推進センターの展示室

また、地域に根ざした大学として、未来を見据えた研究を行なうとともに、今後のさらなる人口減少問題などを背景とした「変化」を迎える医療においても人の役に立つ研究を続けることを役割とし、医工連携の推進については、「小さなこともコツコツと」をスローガンに、着実に前進しています。

<写真>鳥取大学医学部附属病院・新規医療研究推進センター 教授 植木 賢 さん(写真右)
鳥取大学研究推進機構 研究戦略室 准教授 古賀 敦朗 さん(写真左)

米子市は、市民の皆さんの健康のため、地域の経済活性化のため、今後も産学官連携を推進します。

掲載日:2019年2月12日