2006 岩間弘

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2006 岩間弘

「米子彫刻シンポジウム制作作品」

作品解説(広報よなご平成31年1月号掲載)

2006年開催の第10回米子彫刻シンポジウム参加作家である岩間  弘(1956年-  )が、昨年7月に「第29回平櫛田中賞」を受賞しました。この賞は、近代日本彫刻界の巨匠である平櫛田中によって設立された日本を代表する彫刻賞で、米子彫刻シンポジウム参加作家としては初の受賞となります。富山県出身で、現在、埼玉県在住の岩間は、1981年に金沢美術工芸大学大学院彫刻専攻修了、佐藤忠良や舟越保武らが創立会員である新制作展に在学中の1977年から作品発表(以後毎年)、1990年、91年には新作家賞、95年には会員に推挙されました。
岩間は石以外にも木やブロンズなど様々な素材を用いた彫刻を制作しますが、石彫に関しては日本各地の彫刻シンポジウムに数多く参加、その中でも大作である本作は、鳥取県西部総合事務所前の芝生の上に設置されています。少し斜め方向に真っすぐ天に向かってそびえ立つ、真夏の入道雲のようなフォルムの本作は、身の丈以上ある巨大な石を素材としているにも関わらず、ザクザクとした濃緑色の石の質感と彫り跡によって表現された軽快なリズムにより、空に浮かぶ雲がモクモクと成長する様子が表現されています。波打つ形の連続が、まるで作品それ自体が呼吸しているかのようでもあり、空想の世界へと鑑賞する私たちを誘う作品となっています。「行き交う人々が、ふっと息をつけるような彫刻となってほしい。」との願いを込めて制作された本作、ぜひ間近でその大きさやザラザラした、脈打つような質感などをご鑑賞ください。
【米子市美術館 副館長 兼 統括学芸員 今 香】

掲載日:2017年12月26日