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作品名 |
Stone drops for lssa |
制作者 |
ジャン=フランソワ・ドゥムール
Jean-Francois DEMEURE |
素材 |
花崗岩 |
規格 |
42×360×360センチメートル |
制作年 |
1998年 |
設置場所 |
加茂川・遊歩道沿い |
作品解説(広報よなご平成31年3月号掲載)
本作は加茂川・中海遊歩道沿いにあり、1998年の第6回米子彫刻シンポジウムにおいて、「交流」をテーマにコミュニケーション・スペースをイメージしたテーブルと椅子をモチーフに制作されました。
作者は、フランスの彫刻家でコンセプチュアル・アーティストとしても活動されています。実は作者の名前「DEMEURE」には仏語で「住む」という意味もあり、本作以外にも家や家具等をイメージさせる作品を数多く制作されています。
日本の俳句にも昔から興味を持っており、中央のテーブル状の楕円形の御影石の上面には、小林一茶『八番日記』に収められた句「露の玉 摘んで見たる童かな」が、日本語、イヌイット語、ヘブライ語、ヒンディー語、アラビア語、フランス語、ロシア語、英語の計8カ国語で刻まれています。その句を囲むように、作家が米子で交流した人々の手形26個が共にサンドブラストの技法により彫られています。
周囲には6つの石が椅子のように配置、鳥居を連想させる赤と、別の種類の5つの御影石で、平安後期から造られている墓塔形式の一つである「五輪塔」の地輪、水輪、火輪、風輪、空輪を象徴的に表現しています。周囲の芝生や植栽なども含め空間全体を一つの作品として制作、その点も見所です。実はこの作品、小林一茶の句碑として複数のウェブサイト等に登録されています。
本作は、様々な角度から私達に日本文化が持つ魅力を再認識する機会を与えてくれます。一度このテーブルを囲み、語らいの時間を楽しんでみてください。そうすることで作品が本来の意味で完成するのではないでしょうか。
(米子市美術館 副館長 兼 統括学芸員/今 香)
掲載日:2017年12月26日