1988 山谷圭司

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1988 山谷圭司

「米子彫刻シンポジウム制作作品」

「米子彫刻シンポジウム制作作品」
作品名 星の舟
-まずは今、ここに来たりて-
制作者 山谷圭司
素材 花崗岩
規格 100×720×1040センチメートル
制作年 1988年
設置場所 米子市立図書館周辺
作品解説(広報よなご平成30年11月号掲載)

米子市役所横の滑り台などがある公園内、約10メートル四方の広い空間を使って本作は設置されています。公園で遊んでいるこども達が、この作品によじ登ったりしながら楽しんでいる様子をよく見かけます。
作者の山谷は1955年北海道旭川市に生まれ、ドイツの大学を卒業後、現在は上富良野町にアトリエ兼住宅を構え、制作活動を続けています。
1988年開催の第一回米子彫刻シンポジウムで制作された本作は、渦巻状に敷設された石畳の中心に大きな自然石が据えられ、波打つ三角形や、古代の貨幣のようなドーナツ状の石を配置することによって構成されています。石に穿った(うがった)鉄の楔(くさび)から流れる錆が、制作から30年という年月の経過を感じさせます。
 作品を構成する「渦巻き」はエネルギーの流れや神秘的な象徴を表現するために太古の昔から用いられていた形で、配置された石は、星の船=宇宙船のようにも、銀河系に渦巻く星々のようにも見て取れ、自然の素材を配置して作品を構築する「ランド・アート」とよばれる表現要素も感じられます。
鑑賞する位置が変わると作品の背景となる景色の変化とともに楽しむことができ、また、この作品の中に入った鑑賞者自身も作品の一部に取り込まれる「舞台装置」のような作品とも言えます。
本作で作者は一つのイメージを提案するのではなく、鑑賞者が「今・ここ」ではない別の世界の風に触れることをイメージし制作されました。ぜひ実際の作品を訪れ、しばし憩いながら、どのような風景が目の前に広がるか体験してみてください。(米子市美術館副館長兼統括学芸員 今 香)

掲載日:2017年12月26日