”焼き物も好きだけど何より人が好き”

皆生温泉のほど近くにある法勝寺焼皆生窯。二代目の安藤釉三さんは今年82歳を迎えました。3年ほど前から車いすでの生活を続けていますが、今もなお、意欲的に作陶に励んでいます。「南部町の法勝寺焼の脇窯として、父の代に皆生で築いたのが皆生窯。私が本格的に陶芸の道に入ったのは高校卒業の春。気がつけば60年以上になります」と穏やかに語ります。

皆生海岸の白砂や日野川河口の砂鉄を粘土や釉薬に取り入れ、土地の風土を映し出すのが皆生窯の特徴。「暮らしの中で使える器づくり」を大切にしてきました。「飾るだけではもったいないから、今の生活様式に合うような、使ってもらえるものを届けたい。最近では自分用のコーヒーカップとして若い人が選んでくれることも」と目を細めます。
安藤さんが立ち上げから運営に携わり、今年で開催40年を迎えた「春の山陰民窯展」は、年に一度、鳥取と島根の窯元が一堂に会する展示販売会です。「民窯展を長く続ける中で、多くの窯元やお客さんと直接話ができた。苦労もあったけれど、人との出会いが楽しかったから続けられた」と振り返ります。

作陶に加え、陶芸教室の講師も長年務めている安藤さん。「焼き物も好きだけど、何より人が好き」と笑顔を見せます。今後も、三代目と力を合わせて、受け継いだ伝統を未来へとつなぎます。
掲載日:2026年3月25日