”人の心を動かす ダンサーになりたい”

井口さんは、米子市出身のプロバレエダンサーです。現在、チェコ国立バレエ団で世界を舞台に活躍しています。
井口さんがバレエを始めたのは5歳のとき。姉が通うバレエ教室で、「軽やかに美しく踊る姿が妖精みたい」とバレエにひかれ、自身も市内の教室に通い始めました。

小学4年生の頃、ロシア人バレエダンサー、ディアナ・ヴィシニョーワが『カルメン』を「まるで憑依したように」踊る映像を見て衝撃を受け、高校1年生で単身ロシアへ。ヴィシニョーワも学んだ世界最高峰の国立バレエ学校・ワガノワ・バレエ・アカデミーに入学しました。世界中で選び抜かれた生徒との切磋琢磨に加え、夜は日本の通信制高校の勉強にも勤しむ過酷な日々に、「大変だった」と振り返るものの、「家族の支えがあって乗り越えられた」とほほえみます。

卒業後はロシアのバレエ団で3年間、舞台に立ちましたが、ウクライナ侵攻が開始。「夢が叶った舞台を去るのはとても怖かった」と苦渋の決断で帰国しましたが、1年間の就職活動を経てチェコの名門バレエ団に合格し、「この経験で自分も踊りも成長できた」と声を弾ませます。
ひのき舞台へと続く険しい道のりの中で、原動力になったのは「見た人の記憶に残る、人の心を動かすダンサーになりたい」という強い思い。幼い頃の憧憬を胸に、夢に向かって飛躍を続けます。
掲載日:2024年11月24日