令和5年度当初予算編成方針

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令和5年度当初予算編成方針

国は、「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中で、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵略、気候変動問題など、我が国を取り巻く環境に地殻変動とも言うべき構造変化が生じているとともに、国内においては、原油価格・物価高騰、コロナ禍でさらに進む人口減少・少子高齢化、災害の頻発・激甚化など、内外の難局が同時かつ複合的に押し寄せているとしており、そのような中、社会問題の解決に向け、「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップ(新規創業)への投資」、「グリーントランスフォーメーション(GX)への投資」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資」の5項目を重点投資分野と位置付け、官民が協働で重点的・計画的な投資と改革を行ない、課題解決と経済成長を同時に実現することをめざす、「新しい資本主義」に向けた改革に取り組むこととしている。
本市においても、新型コロナウイルス感染症対策の継続を想定しつつ、原油価格・物価高騰対策、脱炭素社会の実現に向けた取組やDX推進計画に基づく住民の利便性の向上及び業務の効率化に取り組んでいくとともに、「米子市まちづくりビジョン」に基づき、皆生温泉エリア、米子駅周辺、角盤町周辺、米子港周辺の活性化や「歩いて楽しいまちづくり」の推進、さらには教育・福祉が一体となった体制で、地域の力も活かしながら子どもの成長過程全体を総合的に支援していく取組など、「住んで楽しいまちづくり」の具現化に向けた様々な施策を効果的かつスピード感を持って推進していくことが求められている。
一方、本市の令和3年度の税収は、コロナ禍の影響や固定資産の評価替等により大幅な減収を見込んでいたが、結果的には大きな落ち込みとはならず前年並みの決算額となり、令和4年度においても、個人所得の増加等により税収の微増が見込まれているところである。しかし、歳出においては、社会保障費等の義務的経費の増加や昨今の災害の激甚化を教訓とした防災・減災対策、公共施設やインフラの長寿命化改修などに加え、継続的な新型コロナウイルス感染症対策や国際情勢の不安定化に伴う原油価格・物価高騰の影響もあることから、例年以上に厳しい財政状況が見込まれているところである。
以上のことから、引き続き米子市第4次行財政改革大綱に基づき健全財政の維持を図りつつ、諸々の課題解決に向けた取組を積極的に推進していかなければならない。今後の予算編成に当たっては、限られた財源を有効に活用するため、既存事業の見直しを行ない、事業の取捨選択を的確に実施することは当然であるが、その一方で、本市の発展に資する施策、将来への種まきとなる施策の具現化を推進することが必要である。
これらを踏まえ、令和5年度の予算編成方針を次のとおりとする。

1  基本方針

令和5年度において、歳入面では新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な税収減は見込まれていないものの、国際情勢の不安定化、人口減少と少子高齢化の進展などから、経済情勢はさらに不確実性を増しており、今後の見通しは不透明な状況である。国や県などの動向にも注視し、より一層積極的な姿勢で補助金等の確保に取り組む必要がある。
一方、歳出面では、新型コロナウイルス感染症対策の継続を想定しておく必要があるほか、障がい者福祉関係経費をはじめとする社会保障費等の義務的経費や公共施設等の長寿命化改修、改築などの経費が漸増していくことが想定される。また、令和5年度はこれらに加え、国際情勢の不安定化等に伴う原油価格・物価高騰により、燃料費、光熱水費といった経常経費の上昇も見込まれることから、さらに厳しい財政状況が予想される。
このような状況を踏まえると、新たな施策・事業のための財源を確保する観点から、既存の事業については、これまで以上にその目的を再確認した上で必要性や効果を再検証し、事業の廃止・縮減も含めたより効果的・効率的な施策手法への見直しに取り組んでいくことが不可欠である。

2  編成に当たっての留意事項

令和5年度の当初予算は、当該年度中に見込まれるすべての経費を盛り込み、決算までを見据えた通年予算として要求すること。
経常的経費については、DXの推進によるペーパレス化やリモート会議などICTの活用等による事務事業の見直しにより、一定の削減効果が想定されるものの、国際情勢の不安定化による原油価格・物価高騰の影響や労務費・資材単価の上昇が見られる。したがって、前年度予算に一定の削減率を乗じるシーリングの設定は馴染まないと判断し、今回は経常経費のシーリング方式による予算編成については実施しないこととする。なお、予算編成においては、歳出科目ごとに目的、内容、必要経費の積算について「一件査定方式」を徹底した上で査定していくこととなる。そのため、所管課においては要求内容に係る単価・数量や積算根拠、経費増加の要因等について十分確認・精査の上、要求すること。
新規・拡大事業は、事前協議を原則とし、政策的判断を要するものについては、新規事業評価の対象として評価・検討を受けた上で要求すること。また、市議会本会議・委員会における答弁や決算審査指摘事項等に基づき予算に反映させるべき経費については、議事録で答弁内容を確認するなど、精査の上、漏れのないよう要求すること。
あわせて、政策企画会議での協議案件のほか、真に必要な施設整備については、内容を精査の上、予算要求に盛り込むこと。
政策的経費については、後年度における財政負担や費用対効果、終期など、あらゆる視点から事業内容と事業費の精査を行った上で要求すること。なお、経常的経費を政策的経費として要求することは認めない。

(1)歳入の確保

歳入においては、国県補助制度の的確な活用のほか、遊休地の売却や市有財産の有効活用等、新たな財源確保に努めるとともに、使用料・手数料の見直しや市税等の更なる収納率の向上に向け、口座振替の促進や滞納対策など一層の取組強化を図ることを前提とした要求額とすること。具体的には、第4次行財政改革大綱実施計画における令和5年度目標徴収率以上で収納額を見込むこと。

(2)歳出の精査
ア  事務事業の選択における優先順位の考え方

行政関与の必要性が高く、より緊急性が高い事業、より費用対効果の高い事業を優先順位の上位とすること。事業の選択に当たっては、令和5年度に実施することが不可欠か否かを判断基準として事業を選定すること。
なお、普通交付税の基準財政需要額に算定されない本市独自の需要により実施している単独事業等については、ゼロベースから事業の検証・見直しを行なうこと。

イ  補助金等の見直し

補助金については、「米子市補助金交付基準」を遵守し、当該補助金の公益性の判断、補助金の目的の明確化と効果の検証を十分に行った上で予算要求すること。特に既存の補助事業のうち、実効性の確保に課題があるものや、補助金交付基準に適合しなくなったと認められるものは、その状況に応じて、3年を超えない範囲内において見直し期限を設定し、見直し(廃止を含む。)を検討すること及び見直し期限が到来したにもかかわらず、必要な見直しを行っていない補助事業は、原則として廃止することが交付基準に明記されていることに鑑み、該当する補助金については、確実に廃止・休止すること。また、国県との協調補助金で、国県支出金の減額・廃止等があった事業(過去に減額・廃止のあった事業も含む。)については、事業の縮小・廃止等、適切な措置を講じること。

ウ  公共事業について

投資的事業については、政策的見地等から令和5年度に実施することが必要と判断される事業について、予算要求をすること。既存施設の改修等については、公共施設等総合管理計画の基本方針・個別施設計画等を踏まえ、施設を計画的に管理運営し、将来コストを縮減するという観点から十分に検討した上で、予算要求を行なうか否かを判断すること。

関連用語 … 「投資的経費」

エ  借地料の適正化

鑑定評価額と同額になるよう、引き続き減額交渉を行なうこと。 また、当該用地の買取についても引き続き適切に交渉を行なうこと。

オ  新規事業について

新規事業の予算要求に当たっては、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して他の事務事業の見直しを行なうなど、各部局長主導の下で既存施策の廃止・縮減等が主体的に取り組まれることが必須であり、それにより捻出された一般財源を新規事業に充てることが基本となる。また、新規事業については必ず終期を設定すること。

カ  重点施策について

令和5年度においては、「米子市まちづくりビジョン」及び国の動向等を踏まえて、政策企画会議において重点施策の方向性及び事業内容の検討を行なうこととしている。重点施策として位置づけられた事業については、補助制度等の積極的な活用など財源確保策を含めて、予算要求について必ず検討すること。

キ  民間事業者等との連携・協力による事業の推進

事業の推進に当たっては、民間事業者等の柔軟かつ自由な発想を取り入れて活かすことが、効率的・効果的な行政運営の実現につながることとなる。行政の役割等を見極めた上で、事業内容に応じた適切な民間活力の導入、産学官民の連携・協働や地域経済・雇用の活性化にも留意した効率的・効果的な事業手法の選択・再構築を図ること。また、検討に当たっては、本市が締結している各種連携協定を参考とすること。

ク  新型コロナウイルス感染症を踏まえた事務事業の見直し

新型コロナウイルス感染症の影響により、実施しなかったり、実施方法を変えた事務事業があったことを踏まえると、今後新たな仕事のやり方への改善を含めて見直しを図る絶好の機会である。したがって、事務事業の必要性を改めて検討するとともに、リモート会議などのICTの活用等による実施方法の改善など、既存の事務事業を総点検し、積極的に見直しを行なうこと。

ケ  原油価格・物価高騰について

原油価格・物価高騰については、消費者物価指数の上昇や今年度の予算執行状況、当該事業者を含む関係者への聞き取りや他自治体の状況等を十分検討したうえで、計上すること。なお、その際には、例えば業務の仕様を再点検することなどにより、従来の業務内容等の見直しによる事業費の抑制を必ず検討すること。

コ  その他

国・県補助事業の要求については、国・県の動向を注視し、必要性があるものについては、国・県に対して補助事業等の創設、拡充などを積極的に提案・要望するとともに、県との協調事業において、県が当初予算計上する事業はもれなく予算要求の要否を検討すること。
とりわけ、デジタル化や地域活性化について、国は「デジタル田園都市国家構想交付金」を創設し、取組を加速化する方針としていることから、当該交付金の活用を視野にデジタル化等に向けた施策展開を図ること。
なお、国・県補助事業においては、原則として補助対象外経費を盛り込まないこととし、補助対象外経費が真に必要である場合は、その理由を明確にすること。また、予算要求締切後も、引き続き国・県の動向を注視するとともに情報収集に努め、必要に応じ追加要求すること。

(3)特別会計

財政健全化法の下では、従来以上に特別会計の健全化が強く求められることから、事業運営方法を含む今後のあり方を十分検討するとともに、収入の積極的な確保や徹底した経費の縮減を図ることにより、業務の効率化と収支の改善を図ること。

関連用語 … 「特別会計」


掲載日:2023年2月9日