漫歩米子(2017年12月20日号)

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漫歩米子(2017年12月20日号)

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日中国交正常化45周年・日中友好都市中学生卓球交歓大会レポート

今年の8月3-8日、日中国交正常化45周年の記念事業、日中友好交流都市中学生卓球交歓大会に参加するため、中国の北京に行ってきました。大会は1992年から5年に1度開催され、今回で6回目となりました。日中の友好都市から選手を出し合って編成した67のチームが出場しました。かつて、卓球交歓大会に参加した日本の中学生選手がその後日本代表となって世界の舞台で輝いた選手もいるそうです。

米子市は2012年に続き、2回目の参加をしました。今回、米子市からは市内の中学生2名(男子・箕蚊屋中学校、女子・加茂中学校)と監督1名を派遣し、私は通訳として、市の職員1名とともに同行しました。今回は中国の友好都市・保定市から2名の中学生(男女1名ずつ)とチームを組んで、試合に出場しました。中国では、よく「友(宜にしんにょう)第一,比賽第二(友情は第一、試合は第二)」と言われますが、今回の大会も友情第一を忘れずに、終始和やかな雰囲気で終えることができました。
 初日の8月3日は移動の一日でした。米子の中学生2人とも初の海外で、緊張しているように感じました。私は子どもたちに初の海外と初の中国を安心して楽しく体験してもらえるように、通訳するときは、地元の人(私は湖南省出身ですが)として温かくおもてなししたい気持ちで見守りました。夕方、北京に到着し、真夏の北京はいい天気に恵まれて、大会のボランティア(日本語学科の大学生)が私たちを迎えに来てくれました。


開幕式の後の初集合写真

4日は北京の中国オリンピックセンター体育館で開幕式が行われました。中国側からは前外交部部長や中国人民対外友好協会会長など、日本側からは前・現駐中国大使や日本中国友好協会会長など双方の要人が出席し、あいさつされました。
開幕式は米子市と保定市の選手たちがチームを組んで初めてのイベントだったので、まだお互いによそよそしい感じでした。この日から、みんなで一緒に食事するようにしましたので、食事の間、おしゃべりし合うことで、少しずつ打ち解けていったと思います。

 


監督から練習の説明を受けている様子

午後は合同練習をしました。練習は1時間半という短い時間でしたが、試合の結果に直結する大事な時間なので、みんなは緊張感をもって、両方の監督のアドバイスを聞きながら、シングルスと混合ダブルスの練習に努めました。大会の競技方式は各チーム戦5試合(4シングルス、1ダブルス)で、3試合を先取りしたチームの勝ちとなります。

 

混合ダブルスは日中双方各1名の選手で構成します。組み合わせ方法は任意なので、中国男子選手と日本女子選手、あるいは逆でも可能です。米子市・保定市チームは混合ダブルスの選手を固定せずに、どの選手も出場できるようにしました。 5日は、終日予選リーグでした。各チームと熱戦を繰り広げる中で、米子市選手が出場するたびに、保定市選手はたどたどしいながらも日本語で「がんばれ」とエールを送りました。


混合ダブルス試合中の様子

予選の結果は残念ながら1勝2敗で翌日の決勝トーナメントへは進むことができませんでした。ただ、両市の選手たちはともに汗を流しながら、戦術を研究し、応援し合い、全力で戦ったので、とても充実した一日となりました。この大会はあえて日本と中国の友好都市で一つのチームを組むというチーム構成にしています。
出身や国籍を超えて、仲間として試合に臨むことが選手たちにとってきっとプラスになると思います。 この日の夜は決勝戦への準備もなかったので、北京在住の元米子市中国国際交流員のご夫婦(2015年11月にJETの里帰り事業で来日した趙元交流員)が米子市の選手と監督を自家用車で案内してくださり、北京市内の夜景を楽しみました。

 

6日の午後は参加者全員が決勝戦を観戦しますが、午前中は半日空くようになりました。
保定市外事弁公室(米子市でいう国際交流室にあたる部署)の職員と私は、せっかく日本から来られたので、中国語では「略尽地主之?(地元としてのよしみをいささか尽くす.)」と言いますが、空いた半日を北京の観光地のどこかにみんなを連れて行こうと決めました。二人でいろいろ考えた結果、宿泊施設の近くにある世界遺産「頤和園(いわえん)」に行くことにしました。


頤和園

頤和園は北京中心部から西北に10km程離れた郊外にあります。清朝の乾隆15年(1750年)に造られましたが、1860年戦火で激しく破壊され、1886年に西太后が修繕を行いました。中国では最もよく保存された皇室の大型庭園です。とても広い庭園なので、すべての景勝地を見るのが大変で、園内のメインなところをみんなでぶらぶらしたり、昆明湖(こんめいこ)の遊覧船に乗ったりしました。


頤和園の玄関での記念写真

当日は暑かったので、保定の選手はすすんで米子の選手にドリンクをご馳走してくれました。今回の大会は日中の中学生同士の親睦が一番の目的ですので、選手たちは少し緊張がほぐれたようでよかったです。

 

帰りは地下鉄とバスに乗り、北京の公共交通を体験してもらいました。地下鉄の中で、保定市の選手はスマホでゲームやアニメを遊んでいて、米子市の選手たちも興味津々に隣で見ていました。中学生同士ですから、国籍に関係なく、趣味が一緒だなあと思いました晩ご飯後、保定の選手から米子の選手を誘って、宿舎でパソコンゲームやアニメ観賞をして一緒に楽しみました。


パソコンゲーム親睦会


アニメ観賞親睦会

 

7日はいよいよ最終日です。この日は主催者側による終日観光地見学です。
大会参加者全員で万里の長城や雁栖湖(がんせいこ)などの中国古代や現代の施設を見学しました。 最初に訪れたのは中国で開催される国際会議に使われた雁栖湖国際コンベンションセンターです。
APECや一帯一路サミットの時に、たくさんの国の首脳が集まった会場に実際に入ってみると、みんなが少し興奮しているようでした。


登った後、撮った万里の長城

このような各国の指導者たちが集まる会場は一般の中国人でも簡単には入れません。この大会に参加したおかげで、このような施設を見学するチャンスが巡ってきました。
午後からは中国の代表的な観光名所である「万里の長城」へ行きました。中国では「不到長城非好漢(万里の長城に達しなければ、立派な男ではない。)」という諺があります。今回は定番のスポット「八(はっ)達(たつ)嶺(れい)長城」ではなく、「居(きょ)庸関(ようせき)長城」でした。私も初めて来ました。

居庸関長城は地形が険しく敵の侵入防止に適しているので、古くから国の守衛要地でした。真夏でしたので、登りは結構大変でした。選手たちも初めて万里の長城を見たそうで、みんな頑張ってできるだけ登りました。

 

中国には「天下没有不散的宴席」という熟語があります。日本語に訳せば、「この世に終わらない宴席はない」。つまり、どんな楽しい時間もいつかは終わってしまうという意味です。縁というものによって人々が出会って、そしていつの日にか、別れの時がやってきます。
今回の卓球大会も祝賀レセプションという最後の日程を迎えました。レセプションでは、パンダのホットダンス、四川伝統劇「変臉(へんれん)」、孫悟空ショーといった中国の特色のあるステージパフォーマンスがありました。みんなが興味深くステージパフォーマンスを観賞しました。米子と保定の選手はレセプションが終わった後、笑顔でお互いにお別れを告げました。言葉の壁はありますが、心は相手のことを素直に受け入れることで、文化や言葉の違いを乗り越えられるはずです。

祝賀レセプションのステージの写真は次のとおりです。

 

卓球大会は終わって、8月8日、無事に米子に帰りました。米子の選手から「楽しかった!」「中国の選手が応援してくれて印象に残った!」といった感想を聞いたときに、私も嬉しく思いました。青少年の国際交流は国際交流員の私にとって、いつもやりがいを一番に感じます。それは彼らが若いうちに、相手国に行くことで、純粋に相手のことを見て、感じて、考えて、そして将来につながる期待感もあるからです。

掲載日:2017年12月20日