国は、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)において、将来的に人口減少が見込まれる中で長期的に経済成長を遂げるためには、生産性向上、労働参加拡大、出生率の向上を通じて潜在成長率を高め、成長と分配の好循環により持続的に所得が向上する経済を実現する必要があることから、少子高齢化・人口減少を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を実現していくことをミッションとして掲げ、官民挙げて総力を結集し経済成長のダイナミズムを起こし、これまでの延長線上にない、熱量あふれる日本経済の新たなステージに移行することとしている。
一方、本市の令和5年度の税収は、全体で前年度を約9千万円上回る決算額となった。また、国の経済状況や雇用状況の改善が見込まれる中、少子高齢化・人口減少の進展などを考慮しても、今後の税収の見通しは堅調に推移するものと予想される。一方で、少子高齢化の進展・物価高騰の影響等により社会保障経費をはじめとした各種経費が年々増加しており、さらに物価高騰への対応、昨今の災害の激甚化を教訓とした防災・減災対策、老朽化した公共施設やインフラの長寿命化対策など、将来の財政運営への影響が見込まれる課題は山積している。
以上のことから、令和7年度の予算編成に当たっては、「住んで楽しいまち よなご」を創り上げていくために必要な事業への積極的な取り組みと、限られた財源を有効に活用するため、改めて地方自治体の基本原則である「最小の経費で最大の効果を挙げる」ことを意識した事業の取捨選択との両立を図ることがより一層重要となる。
これらを踏まえ、令和7年度の予算編成方針を次のとおりとする。
1 基本方針
令和7年度の当初予算は、年度当初に市長選挙が行なわれるため、義務的経費や事業実施が既に決定されている継続的な政策的経費、物価高騰対策経費など、年度当初からの速やかな事業実施が必要な経費等を中心とした骨格予算として編成を行なう。
ただし、予算要求に当たっては、決算を見据えた予算編成を行うため、原則として令和7年度中に見込まれる全ての経費を盛り込んだ通年予算として要求することとする。
歳入面では、経済活動の回復、給与所得の増加等による一定の税収増は見込まれるものの、経済情勢は不確実性が高い状況が続くことから、大幅な増加を見込むことは難しい状況である。また、地方交付税についても大幅な増加は見込まれないことから、国や県などの動向に注視し、より一層積極的な姿勢で財源確保に取り組む必要がある。
一方、歳出面では、物価高騰による経常経費の増加が見込まれるほか、社会保障費等の義務的経費や公共施設等の長寿命化改修などの経費についても漸増していくことが想定される。また、近年実施した大規模投資的事業の影響による公債費の高止まりが続くことから、引き続き、収支均衡を意識した財政運営を行なう必要がある。
このような状況を踏まえると、肉付け予算編成や新たな施策・事業のための財源を確保する観点からも、既存事業については、事務事業評価およびサマーレビュー等で検討してきた課題を踏まえ、これまで以上に必要性や効果を検証し、事業の廃止・縮減も含めたより効果的・効率的な施策手法への見直しを行なうことが不可欠である。
2 編成に当たっての留意事項
令和7年度の当初予算は、当該年度中に見込まれるすべての経費を盛り込み、決算までを見据えた通年予算として要求すること。
令和7年度当初予算の政策的経費を除く経常的経費については、歳出科目ごとに目的、内容、必要経費の積算について「一件査定方式」を徹底した上で査定していくこととなる。そのため、所管課においては要求内容に係る単価・数量や積算根拠、経費増加の要因等について十分確認・精査の上、要求すること。要求額の積算に当たっては、令和6年度9月補正予算後の現計予算における一般財源額(令和6年度で終了または休止となる事業に係る一般財源額を除く。)を基準とすること。また、事務事業評価、補助金の見直しおよびサマーレビューにおける課題整理の結果を反映させた上で要求すること。
政策的経費については、後年度における財政負担や費用対効果、終期など、あらゆる視点から事業内容と事業費の精査を行なった上で要求すること。
このうち、新規・拡大事業については、事前協議を原則とし、政策的判断を要するものについては、サマーレビュー等による事業への見解や意見を踏まえ、内容を精査した上で要求すること。
また、市議会本会議・委員会における答弁や決算審査指摘事項等に基づき予算に反映させるべき経費については、議事録で審議経過を確認し、適切に要求すること。あわせて、政策企画会議での協議案件のほか、真に必要な事業等については、内容を精査の上、予算要求に盛り込むこと。
(1)歳入の確保
歳入においては、使用料・手数料の見直しや市税等の更なる収納率の向上に向けた収納方法の多様性の確保、口座振替の促進、滞納対策など一層の取り組み強化を図ることを前提とした要求額とすること。また、国県補助制度の適切な活用を図るとともに、引き続き遊休地の売却や市有財産の有効活用を検討し、新たな財源確保に努めること。
(2)歳出の精査
ア 事務事業の選択における優先順位の考え方
行政関与の必要性が高く、より緊急性が高い事業、より費用対効果の高い事業を優先順位の上位とすること。事業の選択に当たっては、令和7年度に実施することが不可欠かどうかを判断基準として事業を限定すること。なお、普通交付税の基準財政需要額に算定されない本市独自の需要により実施している単独事業等については、ゼロベースから事業の検証・見直しを行なうこと。
イ 事務事業評価、補助金・負担金概要調査およびサマーレビューにおける課題整理
対象事業については、評価結果を踏まえ、内容や今後の方向性を十分に検討した上で予算要求すること。補助金については、「米子市補助金交付基準」(平成30年6月27日行政資料集を参照)を遵守し、当該補助金の公益性の判断、補助金の目的の明確化と効果の検証を十分に行なった上で予算要求するとともに、国県との協調補助金で、国県支出金の減額・廃止等があった事業(過去に減額・廃止のあった事業も含む。)については、事業の縮小・廃止等、適切な措置を講じること。
ウ 投資的事業について
政策的見地等から令和7年度に実施することが必要と判断される事業について、予算要求すること。既存施設の改修等については、公共施設等総合管理計画の基本方針・個別施設計画等を踏まえ、公共建築物の施設総量の抑制や長寿命化、適正な維持管理によるライフサイクルコストを縮減するという観点から十分に検討した上で、予算要求を行なうこと。
… 「投資的経費」
エ 借地料の適正化
鑑定評価額と同額になるよう、引き続き減額交渉を行なうこと。 また、当該用地の買取についても引き続き適切に交渉を行なうこと。
オ 新規事業について
新規事業の予算要求に当たっては、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して他の事務事業の見直しを行なうなど、各部局長主導の下で既存施策の廃止・縮減等に主体的に取り組まれることが必須であり、それにより捻出された一般財源を新規事業に充てることが基本となる。また、政策的判断を要するものについては、サマーレビュー等による事業への見解や意見を踏まえ内容を精査するとともに、必ず終期を設定した上で要求すること。
カ 重点施策について
「米子市まちづくりビジョン」および国の動向等を踏まえて、政策企画会議等において重点施策の方向性および事業内容の検討を行なうこととしており、重点施策として位置づけられた事業については、補助制度等の積極的な活用など財源確保策を含め、予算化に向けて十分検討し、要求すること。
キ 民間事業者等との連携・協力による事業の推進
事業の推進に当たっては、民間事業者等の柔軟かつ自由な発想を取り入れて活用することが、効率的・効果的な行政運営の実現につながることとなるため、行政の役割等を見極めた上で、原則として事業内容に応じた適切な民間活力の導入を検討し、産学官民の連携・協働や地域経済・雇用の活性化にも留意した効率的・効果的な事業手法の選択・再構築を図ること。また、検討に当たっては、本市が締結している各種連携協定を参考とすること。
ク DXの推進について
DX推進計画を踏まえ、各種行政サービスの提供に係る経費について、デジタル技術等を活用し、市民の利便性を向上させるとともに、更なる業務効率化を図ることで、人的資源を再配置し行政サービスの更なる向上につながるよう検討し、要求すること。
ケ その他
国・県補助事業については、国・県の動向を注視するとともに情報収集に努め、必要性があるものについては、補助事業等の創設、拡充などを積極的に国・県に対して提案・要望するとともに、県との協調事業において、県が当初予算に計上する事業はもれなく予算要求の要否を検討すること。なお、国・県補助事業においては、原則として補助対象外経費を盛り込まないこととし、補助対象外経費が真に必要である場合は、その理由を明確にすること。
(3)特別会計
財政健全化法の下では、従来以上に特別会計等の健全化が強く求められることから、事業運営方法を含む今後のあり方を十分検討するとともに、収入の積極的な確保や徹底した経費の縮減を図ることにより、業務の効率化と収支の改善を図ること。
… 「特別会計」
掲載日:2024年10月31日