伝統産業とは、古くから受け継がれてきた伝統的な技術や技法を使って、日本の文化や生活に根ざしたものを生み出す産業を指します。
伝統工芸品と伝統工芸士
伝統工芸品には、国の制度による「伝統的工芸品」(経済産業大臣指定)と県独自の制度による「郷土工芸品(民芸品)」(鳥取県知事指定)があり、それぞれについて伝統的技術・技法に熟練した方が伝統工芸士として認定されています。
伝統的工芸品(経済産業大臣指定)
「伝統的工芸品」については、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」により定められており、以下のような工芸品が指定されています。
- 主として日常生活で使われるもの
- 製造過程の主要部分が手作り
- 伝統的技術または技法によって製造
- 伝統的に使用されてきた原材料を使用
- 一定の地域で「産地」を形成
※「伝統的工芸品」は全国に200品目余りあり、米子市では弓浜絣が指定されています。
弓浜絣
弓浜絣は弓ヶ浜地方に伝わる伝統工芸品です。延宝4年(1676)、境村小室の新平衛が備中国(現在の岡山県西半部)より綿実を持ち帰ったのをきっかけに、この地方で綿の栽培が始まり、その後、藍を用いて染めた絣織物として織られるようになりました。
絣織りには高度な技法が用いられ、縞模様はもちろん、幾何学模様や松竹梅、鶴亀など様々な模様がほどこされました。綿の栽培技術も向上し、江戸時代末期には、藩の保護と指導のもと、農家の副業として発展しました。
明治時代になると、安い外国製綿花の輸入により綿の生産量は減少し、服装が洋装へと変化していくにつれて、絣も衰退の道をたどるようになりました。
しかし、近年では絣の持つ素朴な風合いなどが見直され、弓浜絣の技術の保存伝承が図られています。
綿の栽培、製糸、染色、織り上げといったすべての製造工程が県の無形文化財に指定されています。
鳥取県郷土工芸品(鳥取県知事指定)
鳥取県では独自の制度として、鳥取県郷土工芸品(民芸品)について定めており、以下のような工芸品を指定しています。
- 主として日常生活で使われるもの
- 製造過程の主要部分が手作り
- 伝統的技術または技法によって製造
- 伝統的に使用されてきた原材料を使用
- 一定期間(おおむね5年以上)県内で製造
米子市の郷土工芸品
法勝寺焼皆生窯
昭和三六年に、法勝寺焼二代目が松花窯の脇窯として皆生に登窯を築いたのが始まり。手法、焼成は、法勝寺焼松花窯と同じものですが、皆生の砂、日野川河口の砂鉄を粘土や釉薬の中に混ぜるなどの新しい技法も取り入れて製作が続けられています。
染物(筒書き)
筒書きは、渋紙の筒にモチ粉などで作った染めを防ぐのりを入れ、筒の先からのりを押し出して布に模様の輪郭を描く技法です。筒書き染めで作る製品の中で、注文の最も多いのが大漁旗です。大漁旗は新造船の船主へ贈ったりするもので、境港や隠岐島などの漁業関係者の需要に応じています。
淀江傘
淀江傘の起源は文政四年と言われています。番傘、蛇の目傘など実用に富み丈夫なことで知られ、蛇の目の形(亀甲、梅型)や特有の糸飾りに特色があります。
松江藩籐細工
江戸時代末期に島根県松江藩の武士長崎仲蔵が始め、現在の8代目(米子市在住)まで伝統的原材料・技法による製造が続いています。独特の「花結び」技法や加工難度の高い硬質の表皮部分を用いた籠等を製造する等籐細工の中でも他に類のない希少な製造方法を特徴としています。
伝統工芸士
「伝統工芸士」とは、伝統的工芸品の製造などについて伝統的技術・技法に熟練した方を(一財)伝統的工芸品産業振興協会が認定しているものです。
また、鳥取県では、鳥取県郷土工芸品(民芸品)の製造について伝統的な技術・技法を保持する方を「鳥取県伝統工芸士」に認定しています。
伝統産業支援
民工芸品やふるさと産業(弓浜絣、陶芸、竹工、クラフト等)の販路開拓支援、後継者養成支援のご案内。
…伝統産業等の販路拡大支援事業(鳥取県)
鳥取の民工芸品をはじめとした、ふるさと産業(因州和紙、弓浜絣、倉吉絣、陶芸、竹工、酒造、菓子、木製家具、建具、クラフト等)の販路拡大等の取り組みを支援しています。
…伝統工芸の後継者育成事業(鳥取県)
鳥取県では歴史的、文化的財産である伝統工芸等の後継者の育成を目的として後継者研修等に対する支援を行っています。
掲載日:2024年4月10日