調査・研究結果(発生状況、モデル事業等)

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調査・研究結果(発生状況、モデル事業等)

平成27年度から、被害軽減のための情報提供および発生源対策の検討を目的とし、米子高専や鳥取大学と共同で発生状況、被害状況、ヌカカの生態などの各種調査を実施してきました。それらの結果についてお知らせします。

発生状況について

大量発生する時期の前後を通じて、毎週1回程度、採集調査を行ない、推移を調査しました。

令和6年度の発生状況

調査日
4/25 5/9 5/15 5/21 ※5/31 6/6 6/12 6/20 6/26 7/4 7/12 7/18

(匹)

0 0 163 23 8 1027 1652 833 389 127 1 3

 ※5/31の調査は降雨のため、数が減少しています。

 ※R6.6.22梅雨入り。

過去の発生状況

平成27年度から令和5年度の発生状況

nkk15-23

※ 調査地点…彦名町(中海から約400メートル内陸にある雑草繁茂地)

※ 調査日については年度によって数日のずれがあります。

発生時期及び発生時間帯

発生が多くなる時期は、だいたい5月下旬から6月下旬です。

発生の多くなる時間帯は、朝方(7~9時)と夕方(16~18時)ですが、特に朝方は活発に飛び回ります。

発生地域

弓浜地区全域に発生します。

土地利用の状況

住宅地や耕作地に比べ、雑草が繁茂している土地のそばでは、捕獲数が多くなる傾向があります。

気象条件

雨上がりの無風の日に多く飛び回る傾向があります。

ヌカカの種類について

ほとんどは「トクナガクロヌカカ」で、ごくわずかに「イソヌカカ」が含まれています。

トクナガクロヌカカ

荒廃農地のように、雑草が茂り、腐植により水分や有機物が多く含まれる土壌に特に多く生息しています。
遺伝子解析等を含め検証を試みたところ、ほとんどの個体はかまないが、ごくまれに、かんで吸血する個体が存在することを確認しました。

イソヌカカ

海岸沿いの水たまりや泥の中に生息しており、その刺咬(しこう)被害は広く知られています。

被害状況について

ヌカカの被害により医療機関を受診された患者数(疑い症例を含む)の推移を調査しました。

令和6年度の受診者数

時期 5月1週 5月2週 5月3週 5月4週 5月5週 6月1週 6月2週 6月3週 6月4週 7月1週 7月2週 7月3週 7月4週
 受診(人) 0 0 12 63 57 39 31 35 12 0 1 1 0

調査医院…左野皮膚科

時期

おおよそ発生状況と同じ傾向となっています。

症状

強いかゆみが最も多く、患者の多くが複数回、複数箇所かまれています。箇所は首の周り、胸、背中など衣服の中が多い状況です。

性別等

受診者は子供とお年寄り、性別では女性が多い状況です。

治療

市販薬より、処方されるステロイド外用剤が有効です。ほとんどは1、2週間で症状は治まります。

 屋内での予防方法について

殺虫剤及び虫よけ剤の有効性

リンク・新しいウィンドウで開きます 効果検証試験結果およびモニター調査結果PDF 257キロバイト)

網戸の目開きの有効性

一般的な網目のものでは、侵入を防ぐことはできません。網戸を使用する際は、網戸用の殺虫剤を噴霧して使用すると効果的です。

更新日:2023年7月24日

発生抑制対策(モデル事業)

発生抑制対策モデル事業について

これまでの調査研究結果(平成27~30年度)により、ヌカカの主な発生源は荒廃農地であり、その幼虫を駆除し、発生を抑制するためには、石灰散布、耕うん及び除草が効果的であることが解明されました。
そこで、地域で継続的に実施可能な取り組み方法を検討するため、彦名地区をモデル地区とし、令和元年度から3年間を目途に補助事業による駆除作業を実施し、事業ニーズの把握及び駆除効果の検証を行いました。

補助事業の内容

住宅地周辺の荒廃農地で駆除作業を行なう土地所有者又は自治会に対して、粒状苦土石灰の購入費用等を助成する事業です。

補助事業の実績

    年度 実施自治会数  実施土地所有者数  実施面積(平方メートル) 
     R1  10 11   約60,000
     R2  9  約54,000
     R3  10  約75,000

アンケート調査(令和2年度、令和3年度調査結果)

モデル地区内の自治会において、モデル事業全期間を通じた事業効果及び今後の事業の必要性を調査しました。
(主な意見)

  1. 発生抑制対策事業の効果について
    ヌカカが減少する等、一定程度の効果があったと感じる。
    • 気象等により明確な効果が感じにくい年があった。
  2. 発生抑制対策事業の今後における必要性について
    • 今後も対策事業は必要であり、継続していきたい。
  3. 発生抑制対策事業に対する意見    
    • 継続的に実施することで効果を実感できた。
    • 除草により、環境美化につながった。
    • 「自分の自治会は自分で守る」という意識が出てきた。
    • 区民が協力的であった。        
    • 彦名地区以外でも、対策に取り組む方が良い。        

効果検証試験(令和2年度、令和3年度試験結果)

補助事業の実施に併せ、作業前後における幼虫の生息数調査を米子工業高等専門学校総合工学科に委託した。令和2年度は駆除作業ごとの効果検証、令和3年度は適正な石灰散布量の検証を行った。全期間を通じ、継続実施による効果を検証した。
(主な結果)

  1. 複数年継続して実施することが有効的であった。
  2. 石灰散布だけでも、ヌカカの幼虫が50%程度減少、併せて除草又は耕うんを実施すると70%程度減少し、より効果は高まった。
  3. 石灰散布量は、10平方メートル当たり0.4kgと0.7kgでは効果に差が見られたが、0.7kgと1.0kgで、効果の明確な差は見られなかった。  

 

掲載日:2025年2月5日