藤内狐と要玄寺の小僧さん

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藤内狐と要玄寺の小僧さん
 藤内狐(とうないぎつね)要玄寺(ようげんじ)の小僧さん

戸上(とかみ)の藤内狐(第11話 ・ 第24話)に再登場してもらいます。
彼が尻を焼かれる前のこと。彼の悪戯(いたずら)をやめさせようと要玄寺(八幡)の小僧さんが戦いを挑み、成功しかけとりました。
その話はこうです。

…ある日、小僧さんは和尚さんにボロ頭巾(ずきん)をもらい、それをかぶって戸上(観音寺)に行き「アッハッハ、オッホッホ、エッ!ほんと!」と大声で独り言を言っとった。それを見た藤内狐が山から降りてきて「おい小僧、何をブツブツ言っとるだ」と聞いた。「いや、この頭巾をかぶると鳥の話がみんな分かるで面白いのなんのって…」と小僧さんはまた大笑いしだした。狐は頭巾が欲しくなって「なあ小僧さん、その頭巾をわしにごさんか…」小僧さんは聞こえんふりして大笑いしとる。と、また「なぁ小僧さん…」小僧さんは初めて気付いたふりをして「何?譲ってくれ?とんでもない、だめ、だめ。」にべもなく断る。と狐は「ほんならわしの宝物《化けの玉》と取り換えよう。」化けの玉てぇのは姿を消したり何にでも化けることができる大した玉で。
小僧さんは内心しめたと思ったが、気が無さそうに「そげか…お前がそげに言うなら」ともったいを付けて玉とボロ頭巾を交換した。狐は喜んで小鳥の下で頭巾をかぶる、が何も聞こえん。「ありゃあ小僧さん、何も聞こえんで?」と小僧さんを捜すが、彼は化けの玉で姿を消した後。
「しまった!だまされた!」
狐は怒った。玉を取り戻さんことには面目が立たん。考えに考えた。小僧さんも藤内が玉を取り戻しに必ず来ると予想し、和尚さんに訳を話して玉を隠してもらった。
数日後、寺に和尚さんの叔母さんがかぶり物をすっぽりかぶってやってきた。「わしゃぁ悪い風邪をひいとって顔を見せられんが、聞けば藤内狐の化けの玉を手に入れたそうなが、ちょっと見せてごさんか、その玉を見れば風邪も治ると聞いたでなぁ」と()き込みながら和尚さんに頼んだ。和尚さんは、他ならぬ叔母さんの頼みだけぇ断ることもできず玉を見せた。叔母さんは玉を手にした途端、姿を消した。
「しまった!だまされた!」…

だまし、だまされ、また1年が過ぎました。
12月8日は「うそつき祝い」といって、この日に豆腐を食べるとこの1年間ついたうその罪が消えるのだそうです。しっかり豆腐を食べて、いい年を迎えましょうぜ。


八幡にある要玄寺の入口

平成16年12月号掲載

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掲載日:2011年3月22日

【利用上の注意】

掲載している昔話・伝説・言い伝えなどの民話は、地元の古老から聞いた話や地元での伝承話、また、それらが掲載された書籍などからの情報を載せているものですので、活用する際は次の点にご注意ください。

  • 民話は、ある程度の史実が背景にあったとしても、それが人々の想像の中で改変され、また、伝承の過程でさまざまな変化を遂げていきます。そのため、史実とは異なる内容、名称等が使用されている場合や学術的な裏付けがないものもあります。

  • 捉えかたにより、記載されている年号や年代、月日、読みかたなど、事実と異なる可能性があります。

  • 「過去の経験を後世に伝えたい先人の強い思い」として読みとるなど、「地域で語り継がれている事実」に着目することが必要となります。

  • 民話は、すべてが史実ではありませんが、地域にとってたいせつなものが含まれていると考えられます。

  • 筆者は、執筆に関しては、市内各地域をまんべんなく入れること(ただし、合併前のものなので淀江町域の話はありません。)、あまり血なまぐさい話は避けること、故人で忘れられている偉人を発掘し民話に託して語ること、などを心掛けて編集されています。