根上がり連理松

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根上がり連理松
根上がり連理松

江戸時代の米子の怪談集「米府鬼話」にある話です。

…昔、小原何とかが猟に出て、1羽の(さぎ)を鉄砲で仕とめた。その鷺を取り上げて見ると首がなかった。不思議に思いながらまた別の鷺を打ち取ってみたら、なんと羽の下にかの鷺の首を挟んでいた。人々は、これはきっと夫婦鷺だったのだろう、とうわさした…

この話は、夫婦のきずなの強さを物語る話として語られています。昔話ではどうでしょうか。

…昔、働き者の男が美しい嫁をもらった。男は1日中嫁に見ほれて全く働かなくなった。これでは暮らしていけないので、嫁は自分の絵姿を描いて男に持たせ、畑に行かせた。男は嫁の絵姿を見ながら、せっせと働いていた。
ある日、絵姿が風に飛ばされてお城の殿様の所に行ってしまった。殿様は絵姿の美女を捜しあて、城に連れて行ってしまった。それを知った男は城に乗り込んで「おらの嫁を返してくれ」と殿様に頼んだ。殿様は怒って男を城の池に落として殺してしまった。
嫁は夫が殺されたのを知って、自分もその池に身を投げた。
その後2人はオシドリに生まれ変わって池に住んでいた。が、殿様はそのオシドリにも嫉妬(しっと)して殺してしまい、土に埋めた。
ところが、埋めた土から竹が2本生え、途中で2本が1つになって伸び出した。人々はこれを「連理の枝」といって、どんな目にあっても離れない、仲のいい夫婦の典型として誉めたたえたそうですと…。

昔話「絵姿女房」の難題型話です。
米子にも法城寺入口に、かつて「根上がり連理松」という国指定天然記念物の見事な松がありましたが、昭和40年代に松食い虫にやられ伐り倒され、今は連理の根だけが残っているのはご存知の通りです。この松にも何らかの話があっただろうと思います。
歌では、中国はあの世でも「願わくば天に在りては比翼の鳥(雌雄2羽でありながら翼がくっ付いた鳥)地に在りては連理の枝」(長恨歌)と熱烈ですが、日本では「よそ目にも 比翼連理と見らるれば ちとは恥ずかしの森の下庵」(狂歌集・大団)と控えめです。
ところで「連理の(はし)」という箸があります。どんな箸と思われますか?…答えは「割り箸」。箸は割っても、比翼連理の仲まで割らないように。
11月22日は語呂合わせで「いい夫婦の日」だそうですと。


法城寺入口にある根上がり連理松の根

平成16年11月号掲載

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掲載日:2011年3月22日

【利用上の注意】

掲載している昔話・伝説・言い伝えなどの民話は、地元の古老から聞いた話や地元での伝承話、また、それらが掲載された書籍などからの情報を載せているものですので、活用する際は次の点にご注意ください。

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  • 捉えかたにより、記載されている年号や年代、月日、読みかたなど、事実と異なる可能性があります。

  • 「過去の経験を後世に伝えたい先人の強い思い」として読みとるなど、「地域で語り継がれている事実」に着目することが必要となります。

  • 民話は、すべてが史実ではありませんが、地域にとってたいせつなものが含まれていると考えられます。

  • 筆者は、執筆に関しては、市内各地域をまんべんなく入れること(ただし、合併前のものなので淀江町域の話はありません。)、あまり血なまぐさい話は避けること、故人で忘れられている偉人を発掘し民話に託して語ること、などを心掛けて編集されています。