古曳盤谷筆龍之図天井画

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古曳盤谷筆龍之図天井画

古曳盤谷筆龍之図天井画(こびきばんこくひつりゅうのずてんじょうが)

江戸時代後期、米子出身の南画家として信濃国(長野県)で活躍した古曳盤谷(1804~1885)が、郷里を出立する天保8(1837)年に、橋本の阿陀萱(あだかや)神社拝殿天井に描いた「龍之図」です。

龍は天地、自然、生命を象徴する空想上の生き物であり、水を司る神でもあり、防火を願い、五穀豊穣を願うために、社寺の天井画として描かれることがあります。

本天井画は天空から水面際に浮遊する龍で、幸福を掴む宝珠(ほうじゅ)を握り、眼光鋭く未来を臨む龍で、宝珠に鮮やかな朱を入れることにより墨画(ぼくが)の龍を引き立てています。画道への志を秘めてこれから出立する勇猛心あふれる心意気を表現するとともに、盤谷の魂が龍の姿で御神域をはじめ皆を守護し続けるという意味も込められていると考えられます。左右に「當邨願主 田渕孫蔵」「丁酉□寫 磐谷(落款)」の墨書があります。

盤谷が晩年を過ごした長野県松本地域では、幕末の志士・佐久間象山(さくましょうざん)とも交友を持ち、私塾を開き、百人を越す多くの門下生を育てるなど、近世日本画への影響は大きいものがあります。

気魄溢れる盤谷の本作品は、ダイナミックな構想が雄渾であり、揺るぎがなく、完成した気品を備えて見る者を圧倒し、盤谷初期作品の傑作と言えます。

天井画1天井画2

法 量:長さ3.87m、幅2.76m

※本天井画は、阿陀萱神社春・秋例大祭の時に見ることができます。

掲載日:2023年5月1日