よなごびと第60回「木山麗さん(刺繡作家)」

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よなごびと第60回「木山麗さん(刺繡作家)」

”刺繍は
私の世界を広げてくれた”

刺繡作家 木山麗さん

木山さんが刺繍を始めたのは24年前。日本刺繍の美しさに魅せられ、隣県の師のもとで基礎を学びました。しかし、ご家族の転勤で生まれ育った米子を一旦離れることになり、その後は独学で制作を継続。そのうちに、技法にはこだわらず、自由で遊び心のある意匠で刺繍を楽しむようになりました。「私のは自己流なので、『和刺繍』と呼んでます」と、はにかみます。

令和3年に二科展のデザイン部フリースタイル部門で大賞を受賞した作品「ピッコロモンド」は、直径2センチの紋を約170個並べて1枚の額絵に仕上げた作品

刺繍のモチーフは、江戸時代の町人や浮世絵といった和風のものから、エリザベス女王や銀座和光といったモダンなものまで幅広く、緻密かつ表情豊か、時にユーモラスに表現されます。使用される絹糸は美しい光沢と立体感を刺繍に生み出しますが、1本が髪の毛よりも細く、少しでも針が狂うと全体の歪みに繋がると言い、「一針ごとに『うまくいけ!』と念にも近い願いを込める」と笑います。

14年前から「へちま舎(や)」というブランド名で、がま口などを発表していましたが、転機となったのは2年ほど前。作品を見た人から勧められ、二科展に出品するとデザイン部門で大賞を受賞しました。それ以降、3年連続で同展での入選を果たし、「作品をより多くの人に見てもらいたい」という気持ちが強くなったという木山さん。「刺繍を通じて学んだこと、出会った人、行った場所がたくさんあり、私の世界を広げてくれた。今後も新しいことに挑戦していきたい」と目を輝かせます。

掲載日:2023年10月24日