”家族だけで抱えこまない介護を”
神戸さんは、看護師や介護士が病院受診や外出の付き添いをする介護保険外自費サービス事業を8年前に立ち上げました。起業のきっかけとなったのは、自身が20代で経験した親族の介護でした。
当時、子育てをしながら仕事をしていた神戸さん。介護保険で対応できない病院受診の付き添いや、病院や施設からの電話連絡に平日の日中に対応しなければならず、精神的に追い詰められたと言います。「家族のために、という気持ちが憎しみに変わり、自己嫌悪につながって」と、かつての苦しみを明かします。しかし、自分と同じ介護の悩みを抱える人たちの存在を知り起業を決意。友人たちと一緒に事業を立ち上げました。
現代の介護の課題として少子化と晩産化を挙げる神戸さん。「家族単位だけでも、子ども一人につき何人世話させることになるのか」、「高齢で出産した場合、子どもが10代20代で親の介護に直面する」と警鐘を鳴らします。家族だけで抱え込まないためには、重層的支援など地域での支え合いの加速や保険外サービス充実の必要性を訴えます。
また、若者による介護・ヤングケアラーの問題が深刻化する中、鳥取県の委託事業としてSNSでのオンラインサロンや相談窓口を開始。「子どもたちが夢や希望を諦めないためには、地域で支え合う必要がある」と、自身も取り組む“血の繋がらない家族づくり”を勧めます。
掲載日:2022年6月24日