市町村の会計は、1年間のお金の出入りを記録する単式簿記で行なわれています。
この方法では、その年にどのような収入があり、それをどのように使ったかはわかりますが、市の所有する学校や公園など、これまでに社会資本として整備されてきた資産がどのくらいあるのか、また、借金などの負債をどのくらい抱えているのかなど、今までに蓄積された情報が読み取れません。
これに対し、企業会計では、1年間にどのくらい利益をあげたかを示す損益計算書や、今までに取得した資産の内容を表す貸借対照表(バランスシート)を使って、経営成績や財産の蓄積内容を知ることができるしくみになっています。
そこで米子市では、平成12年度から普通会計を対象に、所有する資産や負債の状況を一覧できるバランスシートを作成しています。
しかし、地方公共団体では、普通会計以外に水道事業、下水道事業、国民健康保険事業などの公営事業会計でさまざまな事業を行なっています。
さらに、地方公共団体が直接行なう事業とは別に、一部事務組合や市が出資などを行なっている外郭団体でも、地方公共団体と連携協力して行政サービスを実施しています。
こうしたことから、市全体の資産と負債の状況などを総合的に把握するため、今まで作成していた普通会計分バランスシートに加えて、これ以外の公営事業会計を加えた「市全体のバランスシート」と、一部事務組合、さらに地方公共団体と連携協力して行政サービスを実施している外郭団体までを含めた「連結バランスシート」を作成しました。
対象とする範囲
普通会計
【内訳】
- 一般会計から、錦海団地事業部分を除いた部分
- 市営葬儀事業特別会計
- 南公園事業特別会計
- 住宅資金貸付事業特別会計
- 土地取得事業特別会計
- 高齢者住宅整備資金貸付事業特別会計
- 崎津団地開発促進事業特別会計
- 市営墓地整備事業特別会計
- 市営墓苑事業特別会計
- 駐車場事業特別会計のうちの、駐輪場部分
ここまでの範囲で作成したものが、「普通会計バランスシート」です。
【資料】
平成18年度普通会計バランスシート ( 218キロバイト)
公営企業法適用の企業会計
【内訳】
公営企業法非適用の企業会計
【内訳】
- 下水道事業特別会計
- 農業集落排水事業特別会計
- 駐車場事業特別会計から、駐輪場部分を除いた部分
- 流通業務団地整備事業特別会計
- 一般会計のうちの、錦海団地事業部分
その他の特別会計
【内訳】
- 国民健康保険事業特別会計
- 老人保健事業特別会計
- 介護保険事業特別会計
「普通会計バランスシート」に加え、ここまでの範囲で作成したものが、「市全体のバランスシート」です。
【資料】
平成18年度米子市全体のバランスシート ( 16.2キロバイト)
一部事務組合
「一部事務組合」とは、地方公共団体の行なう特定の事務事業を、他の地方公共団体と共同して処理するために設立された特別地方公共団体です。
米子市が構成団体として加入している団体を連結対象とし、米子市の経費負担割合に応じて比例連結を行ないました。
米子市が加入している一部事務組合
連結対象の外郭団体
地方公共団体と連携協力して行政サービスを実施している団体で、米子市からの出資比率50パーセント以上の団体を連結対象としました。
【地方公社】
【第三セクター】
- 米子市開発公社
- 米子市勤労総合福祉センター
- 米子市生活環境公社
- 米子市教育文化事業団
- 米子駅前開発
- 米子市勤労者福祉サービスセンター
「市全体のバランスシート」に加え、ここまでの範囲で作成したものが「連結バランスシート」です。
【資料】
平成18年度連結バランスシート ( 25.4キロバイト)
作成方法
- 今までバランスシートを作成していない会計と一部事務組合は、普通会計と同様の基準により作成しました。
- 企業会計を採用している会計と連結対象法人は、それぞれ固有の会計基準が定められているため、連結に際しては会計基準の統一は行なわず、既存のバランスシートの金額を基礎として連結を行ないました。
ただし、資産・負債等の項目については、普通会計のバランスシートの項目に合わせる調整を行なったため、各会計及び団体が固有に作成しているバランスシートとは違いが生じています。
- 企業会計方式を採用している会計と外郭団体では、出納整理期間がないので、3月末日現在で、未収金・未払金がある場合それを未収金・未払金として計上しています。
水道事業・工業用水道事業・外郭団体については、市に対する未収金・未払金について出納整理期間中に支払われたものについては、現金決裁したものとして、「相殺消去等」の欄で調整をしています。
留意事項
「連結バランスシート」は、米子市と連携協力して行政サービスを実施している関係団体を連結して、ひとつの行政主体であるとみなして作成したものであり、関係団体の資産及び負債等は、米子市に帰属するものではありません。
連結バランスシートからわかること
「普通会計」と「市全体」、「連結」のバランスシートを比較しました。
【比較表1:額の比較】
項目 |
普通会計 |
市全体 |
連結 |
資産合計 |
1,678億7,688万7千
円 |
2,935億8,520万5千
円 |
3,222億3,944万
円 |
うち
有形固定資産 |
1,590億4,574万4千
円 |
2,807億2,968万4千
円 |
2,923億2,727万3千
円 |
負債合計 |
819億2,798万
円 |
1,564億7,561万3千
円 |
1,806億 506万
円 |
資産・負債差額 |
859億4,890万7千
円 |
1,371億 959万2千
円 |
1,416億3,438万
円 |
後世代による
社会資本の
負担率 |
51.51
パーセント |
55.74
パーセント |
61.78
パーセント |
「市全体」は、「普通会計」に公営企業会計と、その他の特別会計を含めたものです。
「連結」は、「市全体」に一部事務組合と外郭団体を含めたものです。
【比較表2:率の比較】
項目 |
連単倍率
(連結普通会計) |
連単倍率
(連結市全体) |
資産合計 |
1.92 |
1.10 |
うち
有形固定資産 |
1.84 |
1.04 |
負債合計 |
2.20 |
1.15 |
資産・負債差額 |
1.65 |
1.03 |
「連単倍率」とは、連結決算の値が、普通会計と市全体の値の、それぞれ何倍になっているかを表すものです。
有形固定資産は、普通会計が1,590億円に対し、市全体が2,807億円、連結が2,923億円となります。
また、負債は、普通会計819億円に対し、市全体が1,565億円、連結が1,806億円となります。
普通会計と連結を比較した場合、連結は、有形固定資産が普通会計の1.84倍となるのに対して、負債は2.20倍となり、資産に比べて負債の増加割合が大きくなっています。
また、資産・負債差額は、普通会計の859億円に対し、市全体が1,371億円、連結が1,416億円となります。
資産・負債差額は、主に今までの世代の負担により形成された社会資本の額を指し、負債は将来の返済(後世代による負担)の額を指しています。
このことから、連結では、普通会計と比較して、後世代による社会資本の負担率が大きく増加しており、将来世代による負担が増加していることがわかります。
これは、「市全体」で見ると、下水道事業(特別会計)で、市債の償還年限が普通会計よりも長いことが要因のひとつです。また、流通業務団地事業(特別会計)で、分譲区画の販売が計画どおり進んでいないことも要因です。
また、「連結」では、米子市土地開発公社や米子市開発公社が先行取得した用地費などを、借入金によって取得したことが大きな要因です。
【資料】
「市全体」と「連結」バランスシートのほか、説明資料をひとつにしたものです。
平成18年度連結バランスシートと説明 ( 170キロバイト)
掲載日:2008年3月12日